2007年12月17日月曜日

『Jungle Hunt』 (1982) (Atari 2600)



 
この文章は以下のサイトの英文を訳したものです。
http://www.videogamecritic.net/2600hl.htm#Jungle_Hunt
 
発売元 Atari (1982)
評価 A
 
私は『Jungle Hunt』を1983年の夏休みが始まる頃に買った。
この購入のタイミングはそれ以外考えられないほど良いものだった。
このゲームは私が当時大好きだった“Jungle King”というアーケードゲームの、すごく良くできた移植作品である。
自宅で遊べるこのバージョンはアーケードよりもキャラクターが小さいけれど、綺麗なグラフィックと感度のいい操作性を提供している。
『Jungle Hunt』は四つのユニークなステージで構成されている。
ステージを進めるごとに、より楽しめるステージがプレイヤーを待ちうけている。
プレイヤーはジャングルの奥深くから出発し、“つた”から“つた”へと揺れ動きながら移動していく。
その次のステージでは、ナイフのみを手にして、ワニがはびこっている川を泳いで進んでいかなければならない。
次に、プレイヤーは地上に戻り、転がって来る石の上をジャンプして飛び越え、巨大な岩石の下を避けて通っていく。
そして最後に、槍を持っている二人の原住民の上を飛び跳ねていき、少女を救出するのだ。
主人公はいくつかの色で描かれており、たったそれだけでもかつての1983年の頃にはかなり興奮したものだった!
ジャングルの景観自体は質素ではあるものの、このゲームは多重スクロールを採用している。
高解像度の画面には少しちらつきがあるけれど、操作の感度は良い。
原作であるアーケードのファンは岩石のステージの風景に眉をひそめるかもしれない。
なぜならアーケード・バージョンには坂道があるからだ。
エンディングは(もしあなたがそれをエンディングと呼ぶならば)確かに味もそっけもない。
しかし、全体としてはこのゲームの質は高い。
難易度は二つ用意されていて、二つ目のレベルは本当の難関をプレイヤーに提供してくれる。
もしあなたがアタリ2600(VCS)を所有しているのならば、このゲームをやってみる価値はある。

2007年12月14日金曜日

『Turmoil』 (1982) (Atari 2600)



 
この文章は以下のサイトの英文を訳したものです。
 
発売元 Fox (1982)
評価 A
 
あまり人々には知られていないけれど、その数少ない人々が、“このゲームはアタリ2600(VCS)の中で最高のゲームの内の一つだ”とあなたに告げるであろうゲームがこれだ。
このTurmoilは、Tempestを2D化したようなものだ。
プレイヤーの宇宙船は横長の七つの空間のあいだにある、スクリーンの中央を上下移動しながら、左右にミサイルを発射することができる。
プレイヤーの宇宙船を破壊しようと企む、様々な種類のカラフルな宇宙の怪物どもが、その横長の空間を横切って襲いかかってくる。
幸運にも、プレイヤーには連射機能が与えられていて、ミサイルの洪水を奴らに浴びせることが可能だ。
しかし、戦車のようないくつかの敵どもは破壊が不可能なので、彼らは避けてやり過さなければならない。
ある特定の宇宙の怪物には、横長の空間の隅っこに居座るタイプのものがいる。
もし奴が動き出す前に、プレイヤーがそいつを捕まえることが出来たならば、あなたは多くのスコアを得ることが出来る。
七つの難易度の面とともに、狂気じみた、すさまじい勢いのアクションに遅れずについていくためには、素早い思考が必要になる。
その様な事が要求されるこのTurmoilは、良くデザインされたゲームだ。
 
動画
 
1982 Turmoil Video Game Commercial

2007年12月11日火曜日

『Montezuma's Revenge』 (1984) (Atari 2600)



 
この文章は以下のサイトの英文を訳したものです。
 
発売元 Parker Bros. (1984)
評価 A
 
この精巧なアドベンチャー・ゲームはあらゆる点において、ものすごく素晴らしい。
グラフィックはカラフルで細部にいたるまで描かれている。特にこれといったちらつきもない。
コントロールは、“キビキビしている”という表現がぴったりくる。
そしてゲーム自体も物凄く中毒的だ。
インディ・ジョーンズ風の探検家として、プレイヤーは宝物があったり、罠が仕掛けてあったり、生き物がうごめいたりしている、60以上もある部屋を横断しなければならない。
ヘビ、クモ、転がる骸骨に出くわすことを覚悟しよう。
ドアを開けるためには鍵が必要となり、行く手をはばむ生き物を剣で倒さなければならず、道を明るくするためにはトーチを手に入れなければならない。
それぞれの部屋にはユニークな難関が待ち受けていて、秘密を解き明かしたり、探検をするためのたくさんのエリアがある。
もしあなたが「アタリ 2600」でアドベンチャー・ゲームを探しているのならば、このゲームより他に最適なものはない。

2007年12月2日日曜日

『Adventure』 (1980) (Atari 2600)



 
この文章は以下のサイトの英文を訳したものです。
http://www.videogamecritic.net/2600aa.htm#Adventure
 
発売元 Atari (1980)
評価 A
 
『アドベンチャー』の驚くほど豊かなゲームとしての質は、原始的なサウンドやグラフィックといったハードの制約をしのいで、戦略的要素、アクション、そしてサスペンスに満ちた経験を作り出す。
プレイヤーの使命は、黄金の城に聖杯を返還することだ。
プレイヤーが操るキャラクターは単純な正方形で、それを連続的なスクリーンの上で動かし回すことになる。
画面は広く開いているか、または迷路のようになっており、そして近隣の場所しか見ることが出来ない暗闇の場所もある。
『アドベンチャー』の世界は三つの城(黄金の城、白い城、そして黒い城)から成っており、それぞれの城にエリアがある。城の見た目は素晴らしく、物(あるいは生き物)を出し入れすることの出来る動く門扉もある。
この虚構世界には、磁石、橋、剣、そして三つの城の鍵などの物体が撒きちらかされている。
探検は3匹のそれぞれ異なった特徴を持ったドラゴンによって、危険と隣り合わせの困難なものとなる。
その3匹のドラゴンとは、動きの鈍い黄色のYorgle、意地の悪い緑色のGrundle、そして悪辣な赤い色のRhindleだ。
確かにそれらの生き物の見てくれは悪い。彼らはドラゴンというよりも、むしろゾンビ化したアヒルに見える。
しかし『アドベンチャー』はプログロマーがアートワークも手掛けなければならない時代に発売されたということを、心に留めておかなければならない!
ドラゴンはしばしばアイテムを守っているが、彼らは何のためらいもなくプレイヤーを追いかけてくる。
ドラゴンがあなたを食べた後、あなたが空洞の腹に現われ、そしてあなたはむなしくその腹の中でもがき続けることができる、という所が私が気に入っている場面だ。
アイテムを取り替えてしまうコウモリ(このコウモリは絶え間なくアイテムを再配布する)を加えることによって、世界はダイナミックで予測しがたいものになる。
アイテムをランダム化する三つの難易度設定は、プレイヤーがゲームをするたびにユニークな経験をもたらしてくれる。
もし、全体が部分より勝るという良い例があるとするならば、それは『アドベンチャー』のことである。
そしてこのゲームは「イースター・エッグ」(隠し要素)を取り入れた最初のビデオゲームでもある。
 
YouTube - Adventure (Atari 2600) - Difficulty 1 - 0:33.60

2007年11月17日土曜日

『Ninja Golf』 (1990) (Atari 7800)




YouTube - Classic Game Room reviews NINJA GOLF for Atari 7800
この文章は以下のサイトの英文を訳したものです。http://www.videogamecritic.net/7800mr.htm#Ninja_Golf
 
Ninja Golf (Atari7800)
発売元 Atari(1990年発売)
評価 C+
 
Atariの人々がこのゲームを思いついた時、彼らはハッパの煙でも吸っていたのだろうか?
『忍者ゴルフ』は戦闘、シューティング、そしてゴルフという、三つの異なったゲームの種類を融合している。
そして、信じようと信じまいと、このゲームはそんなに悪い出来ではない!
結構いける!
グラフィックはとても良い。このゲームにはゴルフゲームとしての側面はそんなに多く含まれていない。どれくらい遠くへ飛ばすかショットの狙いを定めるだけだ。そしてボールを打ったら、それを追いかけて、その道中、目の前に立ちはだかってくる敵の忍者どもと戦うのだ。
またプレイヤーはホリネズミどもが投げてくる泥を避けなければならない。
コントローラの二つのボタンで攻撃とジャンプをする。攻撃方法は手裏剣を投げる他は、主にキックをすること。ボールが着地した場所によって、プレイヤーは砂地、木々が生い茂った場所、水面など様々な環境を遍歴していかなければならない。
そこでは蛇どもや鮫どもといった色々な新しい敵が現われてくる。プレイヤーがついにグリーンへたどり着き、ドラゴンを手裏剣で倒すと、そのホールはクリアとなる。
しかし少々問題がある。まず、多数の忍者どもが両サイドから襲ってきた際に、戦闘がイラつくほどに難しくなる。忍者どもが重なり合うと、そこで何が起こっているのか判らなくなる。動作や攻撃の種類が限られているので、同じことの繰り返しになってしまう。
時々、何の明白な理由もなく、敵どもがスクリーンから消滅してしまうこともある。
まとめとしては、『忍者ゴルフ』は古典的名作とは呼べないものの、このゲームはその優れた奇抜さ、斬新さによって何とか容認できるものになっている。

2007年8月25日土曜日

Knight Lore (1984) (ZX Spectrum)




『Knight Lore』は1984年にZX Spectrum で発売されたクォータービュー※(文末の注釈を参照)のアクション・アドベンチャーである。

発売と開発はUltimate Play The Game。後にこの会社はRareとなり『スーパードンキーコング』や『ゴールデンアイ』を製作する。

開発者はTim StamperとChris Stamper。彼らは後にRareにおいて『スーパードンキーコング』の開発に携わる。

ゲームキャラクターであるSabremanが主人公となるシリーズの第三作目に当たるが、前二作(『Sabre Wulf』『Underwurlde』)と違い、画面がクォータービューになっている。
このグラフィックを作製するためにUltimate Play The Gameはfilmation engineを開発、後の作品にもこのエンジンを使った。


<その後のゲーム業界への影響>

ZX Spectrumでこの作品が当たり、以後ZX Spectrumではクォータービューのゲームが大量に発売されることになる。代表的なものとしてUltimate Play The Gameが発売したゲームではAlien 8(1985) 、Pentagram (1986) Bubbler (1987) 。

その他のゲーム会社のものではHydrofool (1986)やBatman (1986), The Great Escape (1986),Head Over Heels (1987)等 。

NES=ファミコンで発売された『Solstice(ソルスティス)』(1990)は『Knight Lore』からの影響が色濃く出ている。


<移植>

『Knight Lore』は後にMSXで忠実に移植された。ファミコンのディスクシステムにも移植されたが、ZX SpectrumやMSXでのような単色の画面ではなく様々なカラーを配色した画面となっている。


<ゲームの目的>

Sabremanは夜になると狼になってしまう呪いにかかってしまった。この呪いを解くためには、40日以内に城の中にあるいくつかのアイテムを魔法使いMelkhiorに渡し、そのアイテムを彼の大釜の中に入れなければならない。もしそれに失敗するとSabremanは永遠にオオカミ男となってしまう……。

動画へのリンク
Knight Lore Walkthrough, ZX Spectrum (Better Quality)
http://www.youtube.com/watch?v=7n7qtErhF-A

※注釈 日本では斜め上からの視点で描かれた画面をクォータービューと呼ぶが、英語ではアイソメトリックビュー(isometric view)という用語を使うのが一般的である。参考Isometric projection, Isometric graphics in video games and pixel art

2007年8月12日日曜日

Yars' Revenge (1981) (Atari2600)





『Yars' Revenge』はHoward Scott Warshawによって創られた、Atari2600の代表的なシューティング・ゲームの名作の一つである。


<バックグラウンド・ストーリー>
人類が滅亡した後、地球ではハエが突然変異により、高度な知能や、惑星から惑星へと飛んでいく飛翔力など様々な能力を手に入れた。
そしてハエたちは、自分たちの手による文明を構築した。彼らハエたちは自分たちをYarsと名づけた。
ある時、Qotileという生命体がハエ(Yars)の生息地の一つであるPlanetⅣを破壊した。
Yarsは復讐をするべくQotileの前に立ちはだかる。


<ゲームの遊び方>
プレイヤーはまず、上下に動く敵(Qotile)を囲むバリアを破壊しなければならない。
バリアの破壊の方法は二つある。一つは自機(ハエ)の発射する弾によって壊す方法。
もう一つはバリアを食べてしまう方法(自機がバリアに突進する形となる)。

敵は二種類の攻撃をしかけてくる。一つは追跡ミサイル。このミサイルはスピードは遅いが、ゲーム中ずっとプレイヤーの自機(ハエ)につきまとってくる。
もう一つは赤い色の渦巻き。この渦巻きは高速で発射される。

敵のバリアを破壊し、プレイヤーが敵に体当たりすると、画面左に特殊なミサイル(Zorlonキャノン)が現われる(バリアを食べることによってこのミサイルを出現させる方法もある)。

このミサイルはプレイヤーが発射ボタンを押すまで発射されない。このミサイルを上下に動く敵に狙いを定めて発射し、うまく当たればそのステージはクリアとなる。
気をつけなければならないのは、このミサイルが自機に当たってしまった場合、自機が爆発してしまうという所である。
ステージを重ねていくごとに敵の追跡ミサイルの速度が上がり、難易度が高くなっていく。

画面中央より少し左にある多彩な色がちらつくサイケデリックなゾーンは安全地帯である。ここでは敵の追跡ミサイルは効力をなさない。その代わり、自機も敵に対する攻撃ができなくなる。また、この安全地帯においても、敵の渦巻きによる攻撃は威力を発する。


<レビュー>
シンプルながら、プレイしていて楽しい。短い時間でサクッと遊ぶのにちょうどいい。

ゲーム中に流れるサウンドはミニマルなノイズ・ミュージック。この寂びれ具合が非常に渋い。

グラフィックにおいては、特筆すべきは安全地帯であるゾーンのサイケデリックな箇所である。常にちらつく様にしてモザイク状の多彩な色が変化していく。

また敵を倒した後の爆破のシーンも気合が入っている。

2007年8月4日土曜日

Mupen 64 の開発者 Hacktarux氏へのインタビュー

これはEmulation64 Networkで公開されているインタビュー(英文)を日本語に訳したものです。

原文
http://www.emulation64.com/spotlights/21/

日時:2005年8月28日
現在のプロジェクト:Mupen64
場所:フランスから……シャンパンで有名な :P

今日私たちがスポットライトを当てるのは優れた開発者であるHacktarux氏です。Hacktarux氏はマルチ・プラットフォームのニンテンドウ64エミュレータのMupen 64とその他のプロジェクトでの素晴らしい仕事で最も良く知られています。多くのLinuxユーザーは彼らのシステムにニンテンドウ64のエミュレーションをもたらしてくれたこととN64エミュレーションを生き生きとしたものに保ってくれたことに感謝しています。

インタビュー

Q:いつエミュレーションに興味をもったのですか? それはコーダーとして? それとも一介のファンとして?

A:僕が初めて使ったエミュレータはCPC エミュレータだよ。Amstrad CPC は僕が最初に所有したコンピュータで、そのようなプログラムの存在を発見したことはとても嬉しかったよ。当時はただのビギナー・プログラマでエミュレータと一緒に配布されているやや技術的な長い文書を読んでいたんだ。僕はいつも本当にその難しさに感銘を受けたし、魅了されたよ。そしてエミュレータを書くことにチャレンジしたんだ。


Q:エミュレーションに関してあなたがはじめて経験したコーディングは何ですか?

A:実質的にはMupen 64が初めてだね。何かをリリースするずっと以前から僕は自分一人ではじめたんだ。物事がどのように動いているかを同時に学んでいたから、僕はかなり長い時間、書き直しをしたよ。


Q:なぜNintendo 64のエミュレーションに興味をもったんですか?

A:僕がエミュレータをはじめた当時、Nintendo 64が最新の据え置き型ゲーム機だったんだ。そこにはゼルダとゴールデンアイがあった。僕はエミュレータ(の開発)をはじめたくなって、エミュレートするためのマシンを探していたんだ。UltraHLE が登場した時には、皆と同じようにショックを受けたね。そして僕は考えたんだ。よし、ニンテンドウ64のエミュレーションは可能だ。しかし僕が思うに彼ら(UltraHLEの作者)はほんの少数のゲームを可能な限り速く動作させるために、(エミュレーションの)正確さをかなり多く犠牲にしている。だから、僕は正確さと互換性を追求するための何かをやってみようと思ったんだ。


Q:現在のエミュレーション・シーンの全体をどのように思っていますか?

A:かなりスローダウンしてる。現在は多くのマシンがエミュレートされてしまったからね。でも、エミュレーション・シーンはまだ進行している。僕はgenesis(メガドライブ)のエミュレーション・シーンを追いかけるのが好きなんだ。コンスタントに進行してはいるけど、genesisにはまだ完璧なエミュレータは存在してないから。実際には、現在はエミュレータでゲームをプレイするための時間はほとんど持ってないんだ。


Q:次世代機のエミュレーション・シーンの現在の状態についてどのように思ってますか?

A:今はそれは吊るして置いてあるような状態かな……僕たちがもっと速いプロセッサを手に入れたらすぐにでも再スタートするための準備として。それら次世代機のエミュレータをはじめる時の問題は、現在のプロセッサでフルスピードで動作することが可能だという望みがないということと、製造会社はより速いプロセッサのデザインをするのに役立つ、新しい技術を模索するのにかなり手間取っているということ。ところで、マルチコアCPUがPS2やゲームキューブをエミュレートするための助けとなる可能性は(2005年8月28日の時点では)まだないんだ。マルチコアCPUの次世代機をエミュレートするのに(PCの)マルチコアCPUは役立つかもしれないけど、その際にはより多くのスピードに関する問題が出てくるだろうね。そんなわけで、まとめとしては、次世代機のエミュレーション・シーンにはIntelとAMD の助けが必要になってくる、といったところかな :P


Q:今のところ、あなたのプロジェクトに対してあなたが受け取ったレスポンスをどのように感じていますか?

A:今のところは全てポジティブなものだよ。このプロジェクトで多くの人々が僕を助けてくれた。ユーザーが全力を注いで有用で役に立つフィードバックを送ってくれるのを見たり、僕と一緒にソースのバグを探すという共同作業をしたりすることは本当に素晴らしいことだよ。


Q:エミュレーションに関しての最も良い経験は何ですか?

A:たぶんMupen64が最初のゲームをエミュレーティングした時だね。


Q:エミュレーションに関しての最悪の経験は何ですか?

A:メッセージ・ボードで、まるであらゆる権利を持った顧客のように振舞った書き込みを読むのはうんざりするね。Mupen64のボードではそのような書き込みはそんなに多く見かけないけど、それでもやはり狼狽してしまうよ。


Q:Mupen64以外で何か他のプロジェクトの作業を進めていますか?

A:Mupen64が空いている時間を利用して行っているただ一つのプロジェクトだよ。勤め先でたくさんの他のプロジェクトを行っているから、今現在、イチから何か行うための時間は全くないよ。


Q:あなたが何か言いたくなるような、大量の野暮な要求にたいして現在は何か対処はしているんですか?

A:何もしてないよ。今のところは、野暮な要求よりポジティブなフィードバックの方が多いからね :)


Q:あなたが受け取った要求の中で最も野暮だったのはどういったものですか?

A:ええっと、最近受け取った10通のメールを見てみると……おお、いいのがあった。
「XXX.comから拾ってきたガントレット・レジェンドが何でMupen 64で動かないんですか? もしガントレットがMupen 64で動くなら、その方法を知りたいのですが」
別に野暮な要求というわけじゃないけど、僕が受信するメールの中で最も頻繁に受ける要求の一つだね。最も野暮な要求といのは、おそらく僕がMupen64のサイトでロムを提供してないからという理由で、僕に対する侮辱が長々と書かれたメールだろうね。彼がエミュレータをダウンロードした後に、彼が何のゲームもプレイできなかったからという理由で僕が彼の時間を浪費させてしまった、などという内容の……。


Q:あなたが受け取った中での最良の賛辞はどんなものですか?

A:人々が誰かに僕のソフトウェアを使ってみたらどうかという提案をしているのを見たときに、それが最良の賛辞だと感じたよ。


Q:あなたのプロジェクトの現在の状態を聞かせてもらえませんか?

A:うん。今ここで言えることはあまりないね。インタビューを受ける二日前にMupen64 0.5 をリリースしたばかりだから。


Q:Mupen64の後に何か他のエミュレーションのプロジェクトをやろうという計画はありますか? もしあるのならばあなたの興味があって、チャレンジしてみたいと思わせるのは何ですか。

A:今現在はないよ。僕は他のプロジェクトを始めるための時間がないし、もし他のプロジェクトを始めるとしたらそれはMupen64を止めることを意味するからね。そして僕はMupen64をやめる前に、まだやらなければいけない多くのことがあると思っているから。


Q:あなたがいままでやってきた仕事に満足していますか?

A:うん。主な目的地には到達したと思うよ。それは互換性と移植性。おそらく移植性に関してはもう少し先に進んでみるかもしれないけど。


Q:今のところプロジェクトの進行具合はあなたが予期していたものを上回っていますか? それともよりもっと遠くへ行けたはずだと思いますか?

A:はじめたばかりの頃は、自分がここまで出来るとは思わなかったよ。商業ゲームが動作する所を見られるなんてことは思いもしなかった。僕はまだ完全なLLEオプションを実装していないことに少し失望しているけど、それが実装できるように頑張っているよ。


Q:今現在、あなたは誰と一緒に開発を進めていますか?

A:現在のところ、主に Olivieryuyu とGonetz と共に開発を進めているよ。また、Mupen64を他のプラットフォームに移植したいと思っている人たちとも共同作業をしている。過去にはwindows GUI をShadowPrinceと、Linux GUIと様々なlinuxプラグインではBlightと一緒に開発を進めていた。プロジェクトにおける彼らの主な仕事をここで紹介したいけど、彼らはそれ以上のもっと多くのことをしてくれた。大変有難いサポートとして……。他のエミュレータの作者についてもここで言及しておかないといけない。Mupen64では彼らとは直接、一緒に作業をしたわけではないけれど、時々、彼らと話しをしたことが参考になったことがあるよ。


Q:どれくらい彼らはあなたに影響を与え、どれくらい彼らはあなたの仕事を改良させたんですか? あるいはその逆?

A:彼らは僕らの開発に多大な影響を与えてくれたよ。それがどれ位なものかは計り知れないけど。例えばMupen64を使用した時にGlide64の新しいフレームバッファ機能(framebuffer functions)を使用することができる。こういうようなことは共同作業がなければ不可能なことだった。


Q:あなたがエミュレータ・シーンから離れた後、何を一番思い出にしたいですか?

A:僕が一度も所有したことのないハードウェアへの移植を容易にしてくれる質の高いソフトウェアを開発してくれたある人のことを記憶にとどめておきたいね :P


Q:次のバージョンに関して簡単に宣伝してくれませんか?

A:次のバージョンに向けての作業を進めていないから、それらはほんのいくつかの可能性だけれども(前に言ったように最新のMupen64をこのインタビューに答えるほんの二日前にリリースしたばかりだから)。チート・エンジンを加えることとAMD64 の64 bitsモードをサポートすることを考えているよ。たぶんダイナミック・リコンパイラ(dynamic recompiler)をもう少し最適化することになるだろうね。


Q:最後に何か言いたいことや、誰かに感謝の言葉などはありますか?

A:僕を助けてくれた人にありがとうと言いたい。それとエミュレータやエミュレーション・サイトで作業をしてきてくれた人たち、あるいはメッセージ・ボードで人々に力添えをするための時間を捧げてくれた人たちにもありがとうと言いたい。彼らは素晴らしいコミュニティを創り上げるために、出来る限りの支援をしてくれた ;)

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関連リンク
:: Mupen64 Official Site
:: Mupen64 Official Forums

ちっちゃな情報
年齢:24
好きな映画:『グリーン・マイル』『パルプ・フィクション』『時計じかけのオレンジ』
好きな音楽:Green Day, Evanescence, The Red Hot Chilli Peppers...
好きな本:Dune
好きなゲーム:Conker,全てのゼルダ作品, テイルズ・オブ・シンフォニア...

2007年7月7日土曜日

Project64 の開発者 Jabo氏へのインタビュー

これはEmulation64 Networkで公開されているインタビュー(英文)を日本語に訳したものです。

原文
http://www.emulation64.com/spotlights/20/

日時:2005年6月27日
現在のプロジェクト:Project64 & Jnes
場所:USA,試しに東海岸に住んでいます。

今日、私たちがスポットライトを当てるのは偉大な才能の持ち主の開発者 Jabo氏です。Jabo氏の最もよく知られている仕事はNintendo 64エミュレータのProject64(とそのプラグイン)です。同様にNESエミュレータのJnesの作者としても知られています。私は彼がわたしたちに与えてくれた全ての素晴らしいプロジェクトを愛するとともに、来たるべき全ての新しい事物を楽しみにしています。

インタビュー

Q:いつエミュレーションに興味をもったのですか? それはコーダーとして? それとも一介のファンとして?

A:僕がエミュレーションに興味をもったのはファンとしてだね。僕は僕が遊びたいと思うすべてのゲームを遊ぶ機会が全くなかったからね。多くの人々がそうだと思う。僕はPasofami を発見して、後にSuper Pasofamiを見つけて、それらをいじくり回すのが凄く楽しかった。それらは当時、時代遅れのものだったけどね。僕は中毒になったよ。


Q:エミュレーションに関してあなたがはじめて経験したコーディングは何ですか?

A:僕がはじめて経験したコーディングはNESだよ。大抵は夜遅くに6502とデバッガに時間を費やしていたね。


Q:なぜエミュレーションに興味をもったんですか?

A:ユーザーとしての見地から言うと、遊びたいと思うほとんど全てのゲームを手軽に遊ぶことができるというアイデアがあるからだと思う。カートリッジを集めるのは大変だし、加えてそのようなコレクションを置く場所があるとは言えないからね。
コーディングの見地から言うと、それは興味深く面白い状況にあるからだよ。コーダーは基本的に人々が彼らのゲームを遊ぶことになるプラットフォームをコントロールできる。技術的な観点から言うと、そこには数多くの様々なコーディングのアイデアを用いていじくり回す事ができるクールなエンジンがある。


Q:現在のエミュレーション・シーンの全体をどのように思っていますか?

A:かつてエミュレータに関するニュースが忙しく動き回っていた頃のようには、毎日ニュースを見てないからね。僕の見方からすると、かなりスローダウンしているように見える。なぜなら初期の頃から今までに、多くの機種がエミュレートされて、かなりの数の文書化がされてきたからね。でもそこにはいつも研究するための新しい機種があり、いじくり回すための新しいPCハードウェアがある。


Q:今のところ、あなたのプロジェクトに対してあなたが受け取ったレスポンスをどのように感じていますか?

A:僕のプロジェクトはかなり良い反応を得ていると思うよ; 僕は質の高いソフトウェアを作ることにトライしている。そういうわけで、そのために大抵かなり長い時間がかかってしまう。僕は僕のソフトウェアに関わった大勢のクールな人たちに会うことができたし、友達になれた。


Q:エミュレーションに関しての最も良い経験は何ですか?

A:ほとんどがメッセージ・ボードからと僕のソフトウェアをテストしてくれた人達からのものだね。僕はユーザーが建設的なフィードバックができる高い有用性のある場所を設置したんだ。僕はそれを読むのを楽しんでいるし、ユーザーとのコミュニケーションを通じて多くのことを学んだよ。


Q:エミュレーションに関しての最悪の経験は何ですか?

A:ひとつはソースコードをリリースした時、見返りが少なかったこと。何人かのひとは僕たちが同意しかねるようなことにそれを使った。そして僕たちはそれのアップデートに関しての不平を聞くはめになった。


Q:現在公表しているもの以外で何か他のプロジェクトの作業を進めていますか?

A:大部分は僕のホームページにリストを加えることだね。最近は僕の2つのエミュレータにほとんどの時間を取られているよ。いくつかやってみたい事はあるけど、それはその時に分かるよ。


Q:あなたが何か言いたくなるような、大量の野暮な要求にたいして現在は何か対処はしているんですか?

A:そういうのは読まないようにしてるよ。EmuTalkのチームは素晴らしい管理の仕事をしているよ。そのことは質の高いフィードバックをより簡単に得ることにつながっている。


Q:あなたが受け取った要求の中で最も野暮だったのはどういったものですか?

A:野暮な要求ってのがどんなものをさすのか良く分からないけど、フィードバックを僕にプライベートに直接、送ってくるのは辟易するよ。大抵は簡単に答えられる質問じゃないからね。


Q:あなたが受け取った中での最良の賛辞はどんなものですか?

A:少数のひとが僕がより多くのエミュレータを作ることを望んでいるのを読んだよ。良い賛辞だと考えることはできないけど。


Q:あなたのプロジェクトの現在の状態を聞かせてもらえませんか?

A:うん。最近 Jnes 0.6 をリリースしたよ。今回のリリースまでにだいたい1年かかったね。Project64を4月にリリースしたことでJnes 0.6のリリースをかなり遅らせてしまったよ。このプロジェクトは安定させて保ち続けたいね。僕はJnesに関して多くのプランを持ってないけど、ユーザーがそこここに僕が思いつかなかった少数の機能に関してのアイデアを持っていることは知っている。それがどのようにフィードバックされるかはその時までのお楽しみだよ。

PJ64はもっと難しいプロジェクトで、もっと多くの時間と資料が必要になる。これをリリースするためには、ちゃんとした準備のために結果として運が必要になってくる。現時点では、EmuTalkで対応できるように、Smiffが僕らを助けてくれるためにチームに戻ってきてくれた。僕はバージョン1.6がリリースされて以来、僕らが得た大量のフィードバックを読んでいる所だよ。僕の自分自身の開発のゴールと同様に、物事はうまくいってるよ。僕が思うに、人々はいつも他のバージョンがあるかどうか知りたがっているようだけど、そういった質問に答えるのは凄く困難なんだ。新しいバージョンというのはそれが完成に近づいているときに降り懸かってくるといった類のものなんだ。みんな忙しい生活を送っているから、僕らの開発はゆっくりとしたものだよ。


Q:何か他のエミュレーションのプロジェクトをやろうという計画はありますか? もしあるのならばあなたの興味があって、チャレンジしてみたいと思わせるのは何ですか?

A:興味という観点からいえば、僕がぜひやりたいと思うものはあるよ。同様に、少数のシステムをいじくり回したことがあって、それは楽しかった。だけど、現実の世界はすぐに自分に追いついてくるからね。自分が開発したいと望んでいる他の分野のソフトウェアと同様に。他のプロジェクトに参加するのは可能だけど、どんな形で参加できるのか分からないし、N64と同じくらい複雑な何か新しいことをはじめる時間があるとは思えないよ。


Q:あなたがいままでやってきた仕事に満足していますか?

A:うん。長い間満足してきたよ。もし立ち去っていっても、ソフトウェアがまだ高い水準を保っていたらこれほど良い気持ちは他にはないよ。


Q:今のところプロジェクトの進行具合はあなたが予期していたものを上回っていますか? それともよりもっと遠くへ行けたはずだと思いますか?

A:僕のエミュレータが今の位置にいることを凄くうれしく思っているよ。ほとんどの場合、僕のエミュレータに何か必要だと思った時、僕のスケジュールにそのための数時間を加えるんだ。PJ64がかなりの時間を要するから、Jnesの開発はかなりゆっくりとしたものになってしまっている。だけど、現在のところその両方にかなり満足しているよ。


Q:今現在、あなたは誰と一緒に開発を進めていますか?

A:Jnesに関して一緒に開発を進めている最も重要な人物はGentだよ。テスティングとチートに関して最も頼りになる奴だね。たぶん、僕が一緒に開発を進めていく機会のあった人の中では最も熱意もある人物だよ。この前のリリースで見てきた通り、ソフトウェアのリリース直前にテストしてくれた多くの人々も含めたいんだけど。
比較してPJ64のチームはもっと大きなものだよ。皆が知っているとおりzilmarは実行ファイルの作者だ。テスティング・チームは一貫して増えてきている。Gentはもちろん、Smiff(凄く熱意がある)、RadeonUser、それとTrotterWatchがこの前のリリースには参加してくれた。僕たちはチャットするための小さいプライベートな場所を持っている。例えば僕たちのwebデザイナーのRatTrapは時々やめるけど、少数の他の人たちは行ったり来たりしている。それがいったい誰かという情報は彼らのために今は内緒にするけど:)


Q:どれくらい彼らはあなたに影響を与え、どれくらい彼らはあなたの仕事を改良させたんですか? あるいはその逆?

A:彼らは開発にかなり重要な影響を与えたよ。基本的にそこはオープンに話し合える場だから。そして僕はテスティング・チームと良い関係でいるよ。僕が直面する最も大きなチャレンジは皆のフィードバックや皆のアイデアを聞くことなんだ。だけど、適切な機能とデザインを選択し、バランスをとるのは僕の責任なんだ。


Q:あなたがエミュレータ・シーンから離れた後、何を一番思い出にしたいですか?

A:多分、高品質のソフトウェアを創ったことと、それを楽しんだことだね。


Q:次のバージョンに関して簡単に宣伝してくれませんか?

A:うん、それがリリースされるとは保証できないけど、Jnesにはムービー・レコーディングの機能をつけたいと思っている。PJ64に関しては、僕ができる限りのことはバージョン1.6に詰め込んだけど、引き続き作業を続けている中で大きなことは特にないよ。時々、texture enhancement projectsは見ているけど、アートワークのいくつかには素晴らしいものがあるね。


Q:最後に何か言いたいことや、誰かに感謝の言葉などはありますか?

A:僕が言える何もかもを言い尽くしたつもりだよ。いいインタビューだった :)
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関連リンク
:: Project64 Official Site
:: Jnes Official Site
:: Jabosoft

ちっちゃな情報
名前:テスターの皆からは 'J' と呼ばれているよ。それとSmiffが"Jabo"のスペルミスのリストの全てを持ってる。

年齢:24
お気に入りの食べ物:タコスか寿司

お気に入りの映画:オースティン・パワーズ、スター・ウォーズⅢ、オーシャンズ11、等、棚には少ししかないね。

お気に入りの音楽:僕のプレイリストには311、Green Day, DJ Encore, Alice DJ, and Gent Francis(ヒント、彼は親友だ)が入ってる。

お気に入りの本:今はリファクタリングについての本を読んでるよ。これが何のことか分かるかな?:P

お気に入りのゲーム:時のオカリナ、Castlevania ~暁月の円舞曲~

お気に入りの趣味:コーディング、パーティーをすること、カートゥーン

あなたのイライラをかき立てるもの:世間知らずの人がこれをどうやって動かすかと聞いてくること。

2007年7月1日日曜日

PCSX2の開発者 Refraction氏へのインタビュー

これはEmulation64 Networkで公開されているインタビュー(英文)を日本語に訳したものです。

原文
http://www.emulation64.com/spotlights/26/


日時: 2006年6月18日
現在のプロジェクト:PCSX2
場所:シェフィールド,英国

今日ご紹介するのは素晴らしいPCSX2の開発チームの1人である、有能な開発者のRefraction氏です。Refraction氏は開発者であるだけでなく、エミュレーションの愛好家でもあります。また、Refraction氏は私が出会った中で、コミュニティー・フォーラムやサポート・フォーラムで積極的にその役割をはたし、公の場で接しやすい数少ない開発者の中のひとりでもあります。Refractionさん、どうか素晴らしい仕事を続けるようがんばってください。私たち(ファン)はPlaystation 2 emulationであなたが成し遂げたことのすべてに感謝しています。

インタビュー

Q:いつエミュレーションに興味をもったのですか? それはコーダーとして? それとも一介のファンとして?

A:僕がはじめてエミュレーションに興味をもったのは90年代の中ごろに自分の貧相な100Mhz PCでSNES, NES やMegadrive (Genesis)をプレイした時だったね。当時、そのことは僕にとってテクノロジーにおけるもっとも大きい革新だったよ。すごくびっくりした!



Q:エミュレーションに関してあなたがはじめて経験したコーディングは何ですか?

A:僕の初体験はChip 8 エミュレータだよ。最近ではChip 8 エミュレータはそんなに苦労せずにエミュレーションにおいての基礎のすべてを網羅できるということで、(エミュレータ・プログラミングの)初心者にはノルマになっているようだけど。



Q:何でPS2 Emulation に興味をもったんですか?

A:あらゆるエミュレーションのプロジェクトが進行し続けている中で、PS2エミュレーションは大きな壁に見えたんだ。サターン・エミュレーションは(当時)同様にうまく行ってない様子だったけど、僕はサターンを一度も持っていたことがなくて、デイトナUSAとバーチャファイター以外のゲームでどれくらい多くのゲームがあるのか全く知らなかったんだ。ドリームキャストは好きだったけど、自分自身でうまく出来るという風には感じられなかったし、ドリームキャスト・エミュレータを進行させている人たちの、誰ひとりともコンタクトがとれなかったんだ。それに、他の多くのひとと同じように伝説的なIcarus の登場を待っていたんだ。しばらくの間、PCSX2を使っていて、彼らPCSX開発チームが行っているキツイ作業を手伝うことが出来ると分かったんだ。そして、ソースを見ることから初めて、制御を把握して、で、Linuzappz と Saqib(通称 asadr)に修正したものを送ったんだ。



Q:現在のエミュレーション・シーンの全体をどのように思っていますか?

A:いい感じだと思ってるよ! 本当にたくさんの、いろいろな据え置き型/携帯型ゲーム機のエミュレータがインターネットで利用できる。そのことは、エミュレーション・シーンが力強く、そこには何人かの有能な人々がいるということを表してるよ。



Q:現在のいわゆる次世代機のシーンの状態をどのように思ってますか?

A:次世代機はとてもタフだよ。たぶんそれは文字どうりの意味ではなくて、次世代機が行っていることをPCで行うために数多くのコーディングを必要とされるということに由来している。16bitの据え置き型ゲーム機のエミュを自分自身ひとりでプログラミングできたかつての時代とは違って、人々はチームとなって作業しなければならない。そして、時が過ぎるに従って、チームはもっと大きくなって行くだろうと感じているよ。それは別にしても、(マシンの)パワーが制限を加えているように見える。据え置き型ゲーム機はよりPCのようになってはきているけど、そこにはまだ相違があるし、エミュレートするためには多くの処理能力が必要になるしね。残念なことに据え置き型ゲーム機がよりパワフルになっていくのに対して、PCのパワーは大きな壁に突き当たっている。



Q:今のところ、あなたのプロジェクトに対してあなたが受け取ったレスポンスをどのように感じていますか?

A:たくさんのエミュレータを作ってきたわけじゃないから、PCSX2は僕が作業してきた中ではじめて公になったものだね。僕が受け取った反応の多くは素晴らしいものだったよ!



Q:エミュレーションに関しての最も良い経験は何ですか?

A:動作しているところを見る瞬間だよ! フルスピードで動いていても、たった1fpsや2fpsだったとしても。最近では一つのプラットフォームで一つの据え置き型ゲームが動作するのを見ても、それは驚くべきことではないと思っているけど。



Q:エミュレーションに関しての最悪の経験は何ですか?

A:初心者が付きまとってくることだよ :P オーケー、彼ら全員が悪いってわけじゃないよ!何人かは本当に熱心なんだ。だけど実機を買うのが一番の近道なんじゃないかと思わせるような輩はエミュレーションの何もかもが分かってないし、それは本当にシーンの衰退をもたらすよ。



Q:現在PCSX2以外のプロジェクトで何か進行中のものはありますか?

A:今のところはないよ。



Q:あなたが何か言いたくなるような、大量の野暮な要求にたいして現在は何か対処はしているんですか?

A:たまにね。でもそういうのはすぐ消えていくよ! 10,000人の野暮な要求をしてくるひともいれば、400,000人の完全に満足しているひともいるということを念頭においてるんだ ;)



Q:あなたが受け取った要求の中で最も野暮だったのはどういったものですか?

A:「うげ~。どこでbiosをダウンロードできるんだ~」とか古典的なもの。今はそれ以外に何か思い浮かべられないね。



Q:あなたが受け取った中での最良の賛辞はどんなものですか?

A:「Ref あんたは神だ!」ベータ・テスターのひとりがそう言ってた気がする。ハハ。



Q:あなたのプロジェクトの現在の状態を聞かせてもらえませんか?

A:うん。PCSX2はうまくいってるよ。古いバージョンと比べてみて今動作している多くのゲームのスピードを少し上げることに焦点をあてはじめた。だけど、まだバグを探しているし、完全にバグだった箇所を修正したり書き直したりすることをゆっくりと、少しずつやってみている。



Q:PCSX2の後に何か他のエミュレーションのプロジェクトをやろうという計画はありますか? もしあるのならばあなたの興味があって、チャレンジしてみたいと思わせるのは何ですか。

A:僕たちは将来PCSX3をやるかもしれないな、みたいなことは冗談で言ってるよ。これはすぐに真剣なアイデアになったけど、それは完全なチャレンジになるだろうね……。



Q:あなたがいままでやってきた仕事に満足していますか?

A:イエスとノーの両方だね。2005年の半ばぐらいからコンスタントに貢献してきて、それが報われたから、そのことには満足している。でも、一方で、自分はもしかしたらもっと出来たんじゃないのかということは感じてる。僕は自分が成し遂げることができることよりもっと高いゴールを設定するのが好きなんだ。



Q:今のところプロジェクトの進行具合はあなたが予期していたものを上回っていますか? それともよりもっと遠くへ行けたはずだと思いますか?

A:確実に自分が予期していたものを上回ってるよ。僕たちには優れた開発者がいるし、僕たちの中で多くのことを成し遂げてきたよ。



Q:今現在、あなたは誰と一緒に開発を進めていますか?

A:主にZerofrog, Saqib, AuMatt, Florin それに、もちろんたくさんのベータ・テスター。彼らは僕たちにとってとても価値のある仕事をしているよ。彼らがいなかったら僕らは途方に暮れていただろうね!



Q:どれくらい彼らはあなたに影響を与え、どれくらい彼らはあなたの仕事を改良させたんですか? あるいはその逆?

A:他のチーム・メンバーは素晴らしいサポートと力添えを今までずっとしてくれたよ。そしてそれはプロジェクトを達成するという僕の決意を確実に高めてくれた。



Q:あなたがエミュレータ・シーンから離れた後、何を一番思い出にしたいですか?

A:僕のPCSX2での仕事はよいものだった、と :) 僕は絶対にエミュレータとチームのことが良い思い出になると願ってるよ。



Q:次のバージョンに関して簡単に宣伝してくれませんか?

A:う~ん。そうだな……次のバージョンはかなり速くなってるよ ;)



Q:最後に何か言いたいことや、誰かに感謝の言葉などはありますか?

A:まず最初にインタビューしてくれたあなたに感謝するよ。それから僕のチームメイト、そしてすべてのベータ・テスターに、彼らが行ったハードワークに。おまえってやつはスゲーやつだよ。そして、もしこれを読んでいてくれたらlinuz に、カムバック! 僕らみんなはあなたが居なくなって寂しく思っているよ!

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関連リンク
:: PCSX2 Official Site
:: PCSX2 Official Forums

ちっちゃな情報
名前:Alex Brown
年齢:24
お気に入りの食べ物:Beans On Toast!
お気に入りの映画:リロ&スティッチ
お気に入りの音楽:パンク/トランス 多くのミクスチャー!
お気に入りの本:本は本当に何も読まないんだ。
お気に入りのゲーム:Elder Scrolls IV: Oblivion
お気に入りの趣味:コーディング、クラブに行くこと
あなたのイライラをかき立てるもの:上り坂を通り過ぎていく大型トラックの群れ!!

2007年6月25日月曜日

映画監督、黒沢清の鬼気迫るFC版ドラクエⅡ レビュー

 筆者があらゆるドラクエ関連のレビューを読んだ中で、もっともスリルがあり、鬼気迫る読後感と感動を覚えたのが『CURE キュア』などの作品で知られている黒沢清の著書『映画はおそろしい』に掲載されていたドラクエⅡに関する文章である。以下そのページを引用しよう。

「FFⅢをめぐる対談記事の中の、高橋源一郎氏の発言を読んで、ハタと膝を打ってしまった。氏は"やはりドラクエⅡが最高である。ドラクエⅡには殺意が感じられた"と語っている。 
 そうなのだ。ドラクエⅡ、あれは確かに凶暴なゲームだった。プレイヤーが手塩に掛けて育てたキャラを、容赦なく皆殺しにしてしまおうとするドス黒い意志が全編を支配していた。ダンジョンの奥底でやっと見つけた宝箱を前にして、突如出現したキラータイガー四頭立てによる先制攻撃。それは悲惨としか言いようのない状況だ。バタバタと死んでゆく仲間たちは、棺桶と化して教会へ送り返される。この屈辱から立ち直るのは並たいていのことではない。 
 いったいいつの頃からだろうか、RPGがキャラを育てるゲームであるという認識が一般的になっていったのは。確かに、主人公がだんだん強くなってゆくのを見るのは楽しい。所持金がうんとたまれば、思わず顔がほころんでしまう。しかし、お金や魔法値を精一杯節約し、取れる宝は全部取って、最短コースでゴールに向かうだけがRPGではないはずだ。終了した時、100万Gたまっていたからといって、いったいなにが楽しいのか。巨大なドラゴンのボスを一刀の元に斬り捨てたからといって、何が偉いのか。RPGが効率よくコトを進めればよいだけのゲームに成り下がってはならない。 
 ドラクエⅡにもどるべきである。たかがマンドリルくんだりにボロ負けして、命からがら城へ逃げ帰ったことを思い出そう。あれは、はっきり生きるか死ぬかのゲームだった。キャラを育てようなどと考える余裕はなく、僕たちはただ何とかして生き残ることだけを考えていた。ふと気づくと、確かにキャラは成長しているのだが、そんな満足など吹っ飛んでしまうほどの凶悪な罠がすぐ先に仕掛けてある。でも、僕たちは負けなかった。 
 最初、城のまわりを逃げ腰でうろつくだけだった自分が、いつの間にか強靭な意志と勇気を持って死にいどみはじめる。ドラクエⅡは、そんな自分自身のけなげさに涙するゲームである。 
 はっきり言おう。RPGとは、断じてキャラを成長させるゲームではなく、プレイヤー自身が成長してゆくゲームなのだ。」

 
 ここで言われているドラクエⅡとはもちろんFC版のことである。後にリメイクされたSFC版とGB版は難易度が大幅に下がってしまった。つまり、本物のドラクエⅡを体験するならばFC版でなければならないのである。
 
 FC版ドラクエⅡの存在は、一種のホラーである。私が子供のころ体験したロンダルキアの洞窟の地獄は、はっきりと「悪夢」として記憶に刻印されている。やっとの思いで命からがらロンダルキアの洞窟を抜け出したら、そこは一面雪景色だった。ああ、なんて綺麗なんだと感嘆し、数歩踏み出すとさらに凶暴なモンスターがウジャウジャと現われてきたのである。
 
 FC版ドラクエⅡは『バイオハザード』や『サイレントヒル』シリーズより「おそろしい」ゲームであった。