2007年8月25日土曜日

Knight Lore (1984) (ZX Spectrum)




『Knight Lore』は1984年にZX Spectrum で発売されたクォータービュー※(文末の注釈を参照)のアクション・アドベンチャーである。

発売と開発はUltimate Play The Game。後にこの会社はRareとなり『スーパードンキーコング』や『ゴールデンアイ』を製作する。

開発者はTim StamperとChris Stamper。彼らは後にRareにおいて『スーパードンキーコング』の開発に携わる。

ゲームキャラクターであるSabremanが主人公となるシリーズの第三作目に当たるが、前二作(『Sabre Wulf』『Underwurlde』)と違い、画面がクォータービューになっている。
このグラフィックを作製するためにUltimate Play The Gameはfilmation engineを開発、後の作品にもこのエンジンを使った。


<その後のゲーム業界への影響>

ZX Spectrumでこの作品が当たり、以後ZX Spectrumではクォータービューのゲームが大量に発売されることになる。代表的なものとしてUltimate Play The Gameが発売したゲームではAlien 8(1985) 、Pentagram (1986) Bubbler (1987) 。

その他のゲーム会社のものではHydrofool (1986)やBatman (1986), The Great Escape (1986),Head Over Heels (1987)等 。

NES=ファミコンで発売された『Solstice(ソルスティス)』(1990)は『Knight Lore』からの影響が色濃く出ている。


<移植>

『Knight Lore』は後にMSXで忠実に移植された。ファミコンのディスクシステムにも移植されたが、ZX SpectrumやMSXでのような単色の画面ではなく様々なカラーを配色した画面となっている。


<ゲームの目的>

Sabremanは夜になると狼になってしまう呪いにかかってしまった。この呪いを解くためには、40日以内に城の中にあるいくつかのアイテムを魔法使いMelkhiorに渡し、そのアイテムを彼の大釜の中に入れなければならない。もしそれに失敗するとSabremanは永遠にオオカミ男となってしまう……。

動画へのリンク
Knight Lore Walkthrough, ZX Spectrum (Better Quality)
http://www.youtube.com/watch?v=7n7qtErhF-A

※注釈 日本では斜め上からの視点で描かれた画面をクォータービューと呼ぶが、英語ではアイソメトリックビュー(isometric view)という用語を使うのが一般的である。参考Isometric projection, Isometric graphics in video games and pixel art

2007年8月12日日曜日

Yars' Revenge (1981) (Atari2600)





『Yars' Revenge』はHoward Scott Warshawによって創られた、Atari2600の代表的なシューティング・ゲームの名作の一つである。


<バックグラウンド・ストーリー>
人類が滅亡した後、地球ではハエが突然変異により、高度な知能や、惑星から惑星へと飛んでいく飛翔力など様々な能力を手に入れた。
そしてハエたちは、自分たちの手による文明を構築した。彼らハエたちは自分たちをYarsと名づけた。
ある時、Qotileという生命体がハエ(Yars)の生息地の一つであるPlanetⅣを破壊した。
Yarsは復讐をするべくQotileの前に立ちはだかる。


<ゲームの遊び方>
プレイヤーはまず、上下に動く敵(Qotile)を囲むバリアを破壊しなければならない。
バリアの破壊の方法は二つある。一つは自機(ハエ)の発射する弾によって壊す方法。
もう一つはバリアを食べてしまう方法(自機がバリアに突進する形となる)。

敵は二種類の攻撃をしかけてくる。一つは追跡ミサイル。このミサイルはスピードは遅いが、ゲーム中ずっとプレイヤーの自機(ハエ)につきまとってくる。
もう一つは赤い色の渦巻き。この渦巻きは高速で発射される。

敵のバリアを破壊し、プレイヤーが敵に体当たりすると、画面左に特殊なミサイル(Zorlonキャノン)が現われる(バリアを食べることによってこのミサイルを出現させる方法もある)。

このミサイルはプレイヤーが発射ボタンを押すまで発射されない。このミサイルを上下に動く敵に狙いを定めて発射し、うまく当たればそのステージはクリアとなる。
気をつけなければならないのは、このミサイルが自機に当たってしまった場合、自機が爆発してしまうという所である。
ステージを重ねていくごとに敵の追跡ミサイルの速度が上がり、難易度が高くなっていく。

画面中央より少し左にある多彩な色がちらつくサイケデリックなゾーンは安全地帯である。ここでは敵の追跡ミサイルは効力をなさない。その代わり、自機も敵に対する攻撃ができなくなる。また、この安全地帯においても、敵の渦巻きによる攻撃は威力を発する。


<レビュー>
シンプルながら、プレイしていて楽しい。短い時間でサクッと遊ぶのにちょうどいい。

ゲーム中に流れるサウンドはミニマルなノイズ・ミュージック。この寂びれ具合が非常に渋い。

グラフィックにおいては、特筆すべきは安全地帯であるゾーンのサイケデリックな箇所である。常にちらつく様にしてモザイク状の多彩な色が変化していく。

また敵を倒した後の爆破のシーンも気合が入っている。

2007年8月4日土曜日

Mupen 64 の開発者 Hacktarux氏へのインタビュー

これはEmulation64 Networkで公開されているインタビュー(英文)を日本語に訳したものです。

原文
http://www.emulation64.com/spotlights/21/

日時:2005年8月28日
現在のプロジェクト:Mupen64
場所:フランスから……シャンパンで有名な :P

今日私たちがスポットライトを当てるのは優れた開発者であるHacktarux氏です。Hacktarux氏はマルチ・プラットフォームのニンテンドウ64エミュレータのMupen 64とその他のプロジェクトでの素晴らしい仕事で最も良く知られています。多くのLinuxユーザーは彼らのシステムにニンテンドウ64のエミュレーションをもたらしてくれたこととN64エミュレーションを生き生きとしたものに保ってくれたことに感謝しています。

インタビュー

Q:いつエミュレーションに興味をもったのですか? それはコーダーとして? それとも一介のファンとして?

A:僕が初めて使ったエミュレータはCPC エミュレータだよ。Amstrad CPC は僕が最初に所有したコンピュータで、そのようなプログラムの存在を発見したことはとても嬉しかったよ。当時はただのビギナー・プログラマでエミュレータと一緒に配布されているやや技術的な長い文書を読んでいたんだ。僕はいつも本当にその難しさに感銘を受けたし、魅了されたよ。そしてエミュレータを書くことにチャレンジしたんだ。


Q:エミュレーションに関してあなたがはじめて経験したコーディングは何ですか?

A:実質的にはMupen 64が初めてだね。何かをリリースするずっと以前から僕は自分一人ではじめたんだ。物事がどのように動いているかを同時に学んでいたから、僕はかなり長い時間、書き直しをしたよ。


Q:なぜNintendo 64のエミュレーションに興味をもったんですか?

A:僕がエミュレータをはじめた当時、Nintendo 64が最新の据え置き型ゲーム機だったんだ。そこにはゼルダとゴールデンアイがあった。僕はエミュレータ(の開発)をはじめたくなって、エミュレートするためのマシンを探していたんだ。UltraHLE が登場した時には、皆と同じようにショックを受けたね。そして僕は考えたんだ。よし、ニンテンドウ64のエミュレーションは可能だ。しかし僕が思うに彼ら(UltraHLEの作者)はほんの少数のゲームを可能な限り速く動作させるために、(エミュレーションの)正確さをかなり多く犠牲にしている。だから、僕は正確さと互換性を追求するための何かをやってみようと思ったんだ。


Q:現在のエミュレーション・シーンの全体をどのように思っていますか?

A:かなりスローダウンしてる。現在は多くのマシンがエミュレートされてしまったからね。でも、エミュレーション・シーンはまだ進行している。僕はgenesis(メガドライブ)のエミュレーション・シーンを追いかけるのが好きなんだ。コンスタントに進行してはいるけど、genesisにはまだ完璧なエミュレータは存在してないから。実際には、現在はエミュレータでゲームをプレイするための時間はほとんど持ってないんだ。


Q:次世代機のエミュレーション・シーンの現在の状態についてどのように思ってますか?

A:今はそれは吊るして置いてあるような状態かな……僕たちがもっと速いプロセッサを手に入れたらすぐにでも再スタートするための準備として。それら次世代機のエミュレータをはじめる時の問題は、現在のプロセッサでフルスピードで動作することが可能だという望みがないということと、製造会社はより速いプロセッサのデザインをするのに役立つ、新しい技術を模索するのにかなり手間取っているということ。ところで、マルチコアCPUがPS2やゲームキューブをエミュレートするための助けとなる可能性は(2005年8月28日の時点では)まだないんだ。マルチコアCPUの次世代機をエミュレートするのに(PCの)マルチコアCPUは役立つかもしれないけど、その際にはより多くのスピードに関する問題が出てくるだろうね。そんなわけで、まとめとしては、次世代機のエミュレーション・シーンにはIntelとAMD の助けが必要になってくる、といったところかな :P


Q:今のところ、あなたのプロジェクトに対してあなたが受け取ったレスポンスをどのように感じていますか?

A:今のところは全てポジティブなものだよ。このプロジェクトで多くの人々が僕を助けてくれた。ユーザーが全力を注いで有用で役に立つフィードバックを送ってくれるのを見たり、僕と一緒にソースのバグを探すという共同作業をしたりすることは本当に素晴らしいことだよ。


Q:エミュレーションに関しての最も良い経験は何ですか?

A:たぶんMupen64が最初のゲームをエミュレーティングした時だね。


Q:エミュレーションに関しての最悪の経験は何ですか?

A:メッセージ・ボードで、まるであらゆる権利を持った顧客のように振舞った書き込みを読むのはうんざりするね。Mupen64のボードではそのような書き込みはそんなに多く見かけないけど、それでもやはり狼狽してしまうよ。


Q:Mupen64以外で何か他のプロジェクトの作業を進めていますか?

A:Mupen64が空いている時間を利用して行っているただ一つのプロジェクトだよ。勤め先でたくさんの他のプロジェクトを行っているから、今現在、イチから何か行うための時間は全くないよ。


Q:あなたが何か言いたくなるような、大量の野暮な要求にたいして現在は何か対処はしているんですか?

A:何もしてないよ。今のところは、野暮な要求よりポジティブなフィードバックの方が多いからね :)


Q:あなたが受け取った要求の中で最も野暮だったのはどういったものですか?

A:ええっと、最近受け取った10通のメールを見てみると……おお、いいのがあった。
「XXX.comから拾ってきたガントレット・レジェンドが何でMupen 64で動かないんですか? もしガントレットがMupen 64で動くなら、その方法を知りたいのですが」
別に野暮な要求というわけじゃないけど、僕が受信するメールの中で最も頻繁に受ける要求の一つだね。最も野暮な要求といのは、おそらく僕がMupen64のサイトでロムを提供してないからという理由で、僕に対する侮辱が長々と書かれたメールだろうね。彼がエミュレータをダウンロードした後に、彼が何のゲームもプレイできなかったからという理由で僕が彼の時間を浪費させてしまった、などという内容の……。


Q:あなたが受け取った中での最良の賛辞はどんなものですか?

A:人々が誰かに僕のソフトウェアを使ってみたらどうかという提案をしているのを見たときに、それが最良の賛辞だと感じたよ。


Q:あなたのプロジェクトの現在の状態を聞かせてもらえませんか?

A:うん。今ここで言えることはあまりないね。インタビューを受ける二日前にMupen64 0.5 をリリースしたばかりだから。


Q:Mupen64の後に何か他のエミュレーションのプロジェクトをやろうという計画はありますか? もしあるのならばあなたの興味があって、チャレンジしてみたいと思わせるのは何ですか。

A:今現在はないよ。僕は他のプロジェクトを始めるための時間がないし、もし他のプロジェクトを始めるとしたらそれはMupen64を止めることを意味するからね。そして僕はMupen64をやめる前に、まだやらなければいけない多くのことがあると思っているから。


Q:あなたがいままでやってきた仕事に満足していますか?

A:うん。主な目的地には到達したと思うよ。それは互換性と移植性。おそらく移植性に関してはもう少し先に進んでみるかもしれないけど。


Q:今のところプロジェクトの進行具合はあなたが予期していたものを上回っていますか? それともよりもっと遠くへ行けたはずだと思いますか?

A:はじめたばかりの頃は、自分がここまで出来るとは思わなかったよ。商業ゲームが動作する所を見られるなんてことは思いもしなかった。僕はまだ完全なLLEオプションを実装していないことに少し失望しているけど、それが実装できるように頑張っているよ。


Q:今現在、あなたは誰と一緒に開発を進めていますか?

A:現在のところ、主に Olivieryuyu とGonetz と共に開発を進めているよ。また、Mupen64を他のプラットフォームに移植したいと思っている人たちとも共同作業をしている。過去にはwindows GUI をShadowPrinceと、Linux GUIと様々なlinuxプラグインではBlightと一緒に開発を進めていた。プロジェクトにおける彼らの主な仕事をここで紹介したいけど、彼らはそれ以上のもっと多くのことをしてくれた。大変有難いサポートとして……。他のエミュレータの作者についてもここで言及しておかないといけない。Mupen64では彼らとは直接、一緒に作業をしたわけではないけれど、時々、彼らと話しをしたことが参考になったことがあるよ。


Q:どれくらい彼らはあなたに影響を与え、どれくらい彼らはあなたの仕事を改良させたんですか? あるいはその逆?

A:彼らは僕らの開発に多大な影響を与えてくれたよ。それがどれ位なものかは計り知れないけど。例えばMupen64を使用した時にGlide64の新しいフレームバッファ機能(framebuffer functions)を使用することができる。こういうようなことは共同作業がなければ不可能なことだった。


Q:あなたがエミュレータ・シーンから離れた後、何を一番思い出にしたいですか?

A:僕が一度も所有したことのないハードウェアへの移植を容易にしてくれる質の高いソフトウェアを開発してくれたある人のことを記憶にとどめておきたいね :P


Q:次のバージョンに関して簡単に宣伝してくれませんか?

A:次のバージョンに向けての作業を進めていないから、それらはほんのいくつかの可能性だけれども(前に言ったように最新のMupen64をこのインタビューに答えるほんの二日前にリリースしたばかりだから)。チート・エンジンを加えることとAMD64 の64 bitsモードをサポートすることを考えているよ。たぶんダイナミック・リコンパイラ(dynamic recompiler)をもう少し最適化することになるだろうね。


Q:最後に何か言いたいことや、誰かに感謝の言葉などはありますか?

A:僕を助けてくれた人にありがとうと言いたい。それとエミュレータやエミュレーション・サイトで作業をしてきてくれた人たち、あるいはメッセージ・ボードで人々に力添えをするための時間を捧げてくれた人たちにもありがとうと言いたい。彼らは素晴らしいコミュニティを創り上げるために、出来る限りの支援をしてくれた ;)

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関連リンク
:: Mupen64 Official Site
:: Mupen64 Official Forums

ちっちゃな情報
年齢:24
好きな映画:『グリーン・マイル』『パルプ・フィクション』『時計じかけのオレンジ』
好きな音楽:Green Day, Evanescence, The Red Hot Chilli Peppers...
好きな本:Dune
好きなゲーム:Conker,全てのゼルダ作品, テイルズ・オブ・シンフォニア...